元国会議員秘書が解説する、嫌疑がかけられた国会議員は何故、辞職しないのか? 意外と奥が深い??

  古今昨今、国会議員を中心として、何らかの疑惑・嫌疑をかけられることが多い政治家ですが、進んで自ら、その職を辞して、責任を取る人はあまり多くありません。

 私の知るところでは、最近の事例では、昨年、兵庫県明石市長のパワハラめいた職員への発言が(発言のすべてを聞くと、決してパワハラとは言えませんでしたが。。。)、ワイドショーで取り上げられ、その責任をとって、辞職し、その辞職に伴う出直し市長選挙で、当選したという事例があります。自分は、決して悪くないとの意味で、自ら辞職したとう意味では、攻めの辞職と言えます。

 国会議員の職というものは、憲法では、「全国民を代表する」とされているポジションであり、特定の選挙区・団体の代表者ではありません。たとえ、共産党の国会議員といえども、「全国民を代表する」代表者なのです。

 国会議員の不祥事が起こった時に、まず、議員本人が取る責任として、大臣・副大臣政務官など政治任用による、行政職にあれば、それを辞職するというものがあります。とりあえず「公職はやめさせて頂きますね♪♪」ということで、一応の批判を交わそうとします。事態の大小によりますが、場合によっては、これで事態が収束する場合もあります。

 一方、特段の行政職に任命されていない場合は、所属政党を離党するというものがあります。これも「とりあえず、反省をしています」という恰好をみせるものになるのですが、引き起こした事案と所属政党次第では、「離党」を許さず、「除名」という処分を受ける場合があります。江戸時代で言うなら、「切腹」ではなく「打ち首・獄門」に近いものがあります。「離党」なら、今後、また復党することができるのですが、与党議員の場合でしたら、「除名」なら、今後の政治活動の道はほぼ、絶たれたと言ってもいいでしょう。

 最も重いのが、国会で決議される「辞職勧告決議」というものがあります。もうここまで来てしまうと、打ち首程度ではすまず、「さらし首の刑」と同じですね。テレビ・新聞からタブロイド紙まで含めて、日本中で「一体、いつ辞職するんだ!税金泥棒」などと庶民から、大きな批判を浴び、更に、ボーナスでも支給されようものなら、ボーナスももらったことがない、若しくは減らされた庶民から、大きな批判を浴びることになります。

 これだけでは収まらず、政治評論家らが、秘書3人の人件費と、月100万円の文書交通滞在費、立法事務費月65万円も支給されていると言い出します。

 そこで、議員は何故辞職しないのでしょうか?実は、この間、もしかして、次の選挙でも、何らかの形で、自分が当選できる可能性があるのかを密かに探ってみたり、それが無理なら次の選挙での、自分の息がかかった候補者の調整を行ったり、何らかの影響力が残すことができる道を探ります。

 また、粘りに粘って、解散か任期満了での議員職の失職なら、何らかのスキャンダルでの辞職ではないので、次の仕事も見つけられやすくなります。(大学教授など)

 去年の年末に、カジノ疑惑で騒がれた秋元司衆議院議員ですが、国民の多くは、コロナ騒ぎのおかげで、その存在さえも忘れてしまっていませんか?国会議員の疑惑とはその程度もので、時間がたてば、忘れ去られてしまう程度のものなのです。

 要するに、国民が忘れてくれることが一番と考えているのです。あのアドルフ・ヒトラーも、不景気下にあったドイツの民衆から、熱狂的な支持を得て、合法的に一国のトップに上り詰めた歴史があるように、いつの時代も、大衆は「熱しやすく、冷めやすい」という心理を持っているのです。