国会議員本人が、選挙区の有権者に直接電話をしてみると何が起きる? 小さな奇跡が起こる!?

 国会議員の事務所には、選挙区の有権者はもとより、テレビにでも出演したら、日本中の様々な国民から、クレームから応援のメッセージなどが、電話やメールで送られてきます。

 少し過激な思想をお持ち方々は、直接、事務所に来訪などもされますが、これは飽くまで例外的な動きになります。

 

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 中村喜四郎という、茨城4区選出の、無所属の衆議院議員がいらっしゃるのをご存じでしょうか。

 年配の方々なら、覚えていらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、元々、自民党に所属しており、田中角栄の秘書を経験していたこともある議員です。田中角栄の薫陶を受け、将来の候補とまで言われ、建設大臣まで勤められた方ですが、ゼネコン汚職で有罪になった経歴があります。

 こんなダークな経歴の持ち主ですが、選挙はめっぽう強く、楽々当選を果たしてしまいます。あまり知られていませんが、彼の選挙手法は、毎日、有権者に最低50本の電話をかけることをノルマとしているものなのです。

 一か月で最低1,500本の電話を有権者に対して行っている訳で、1年にしてみれば、約2万本は電話をかけていることになります。

 田中角栄が編み出した「握手をした数だけ票が伸びる」という公式を応用した選挙手法になるのですが、電話を掛けた数だけ、票が出ているとも言えます。国会議員本人が、有権者と直接電話を使って、コンタクトを取るということは、マーケディング用語でいえば、ダイレクトマーケティングと言う手法で、ダイレクトに有権者へ、親近感を沸かせ、政策がどうこう以前の問題として、その議員のファンになってしまうとうことを意味していると考えられます。

 この話を聞いた私は、選挙区の有権者から、メールでクレームが来た際に、メールに自宅の電話番号が書いてあった為、議員に「このメールをくれた方に、電話を一本入れてみたらどうですか?」と提案し、議員から直接電話を入れてみてもらったことがありました。

 あいにく、平日だったため、ご本人は不在でしたが、奥様が電話に出られて、電話があった旨をご本人に、伝えてくれました。奥様は、国会議員本人からの電話とは気づかなかった様ですが、その夜、メールを頂いた有権者からは、かなり驚かれた様で「妻から、伝言を聞きました。議員自ら電話を下さるとは大変、恐れ入りました」、「議員本人が有権者のクレームに近いメールにも、目を通しているのですね」との趣旨のメールを頂きました。

 一般有権者からしてみれば、相当にびっくりする程のことなのでしょうね。

 例えは、少し違いますが、自分が好きなアイドルに手紙を送ったら、アイドル本人から電話が掛かってきたらびっくりしますよね。そして、ますます、ファンになってしまうのではないでしょうか。住んでいる自治体の首長から、直接、電話が掛かってきても相当驚くと思います。

 昨今は、ネット選挙が解禁されていますが、ネット選挙などの空中戦ではなく、地に足をつけて、電話でも使って、有権者の意見を直接伺おうとする政治姿勢は、有権者に対する議員の、政治に対する真摯さを見せるものになり、信頼感を増すものになると言えます。

 できもしない有権者に耳障りのよい、政策を選挙の時だけ訴えるのではなく、こういった活動をすることで、有権者にとって苦しい政策を掲げても、実現をさせることが出来る政治家が現れてくるのではないでしょうか。

 政治家にとって、確実な一票を積み上げるということは、選挙前のパフォーマンスではなく、時間はかかりますが、主義・主張をも異にする有権者へも、真摯に向き合う姿勢を見せるにつきるのではないでしょうか。