元国会議員秘書が解説する、地政学とは。。。 聞きなれない言葉ですが、何か問題でもあるの? 対中外交に影響も??

 この「地政学」という言葉・学問ですが、現在の日本においては、あまり議論されて来ませんでしたが、ここ最近は、政治・経済評論家の間では、しばしば、聞かれるようになってきた言葉です。

 何故、わが国で、あまり聞かれない言葉・学問なのかについてですが、それは、第二次世界大戦後にGHQ(General Headquartersによって、研究することを禁止されて来た学問であるからです。戦前の大日本帝国は、大東亜共栄圏

ja.wikipedia.org

の建設の為に、対アジアの占領政策を推し進めてきた訳ですが、これが、軍部の暴走を招いた元凶であるとして、GHQにより、禁止されてしまったのです。

 地政学と言っても、その定義は様々で、領土の拡大に根源に位置付けるもの、経済的な観点から考察するもの、純粋的に、地理的な場面から考察するものなど、研究の切り口は沢山存在しますが、わが国の場合は、伝統的に、ドイツの領土の拡大から考察するものがベースとなってきました。

 当時の領土の拡大とは、言い換えるなら、経済圏の拡大=輸出入の拡大による経済発展を目指すものになるのですが、これが、東南アジア地域での、阿片戦争第一次世界大戦日清戦争日清戦争後の、欧米列強による中国の侵略などのアジア地域への侵略を許す契機となっていきました。

 何故、近年になって、地政学に言及する政治・経済学者が登場するのか。それは、中国の政治的、経済的な活動を無視することが出来ない状態になったからです。

 中国は、ユーラシア大陸の枢要な部分に、その広大な領地を有し、新疆ウイグル自治区チベット自治地区などに、国内とも国外問題とも言い難い課題を多数有し、インドとの領土問題、東シナ海に於いては、更なる領土拡張の動きを見せています。

 現在は、インターネットの発達・デジタルトランスフォーメーションにおいて、旧来的な領土の拡張が、絶対的な、経済的な利潤をもたらすものではありませんが、やはり、その領土から得られる天然資源・人的労働力は、国の経済を構成する最も基本的な資源と言えます。

 ゴールドマンサックスの経済分析・研究によれば、2050年においては、領土と資源に恵まれたBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国)諸国が(現在の中国にはかなり疑問は残りますが。。。)、経済的に大きな地位を占めるとも報告されています。

 現在の日本を物理的な地政学的の視点から見てみると、習近平氏を国賓として招く話題や、韓国にとっての国家的産業の戦略物資の輸出制限などありますが、ランチェスター戦略から見れば、両国とも近隣国であり、太古から結びつきの強い国ですが、第二次世界大戦の時の様に、一度に2方面ともめごとを起こすのは、得策ではありません。

 まずは、北朝鮮にさえも、見放された、弱っている一方の韓国を徹底的に叩きのめし、片方とは、表向きだけでも、シェイクハンドをするのがセオリーです。現在、習近平国賓として招こうとしている政治家が、このことを根底で意識しているのなら、かなり狡猾な策士であるとも言え、一時的な政治姿勢としては、批判をされることも非常に多いですが、支持できる考えとも言えます。

 常温核融合発電などの、エネルギー革命・技術革新などが急速に発展すれば、この仮説が決して成り立つとは思えませんが、旧来的な地政学の観点から見れば、少なからず、優位な立場になるのは間違いないのではないでしょうか。

 わが国はと言えば、資源と言えるものは、「人財」しかなく、バブル崩壊後は、「人財=人罪」とされて来た感がありましたが、人口も既に、年間50万人以上減少している現在、人への集中的な投資しか、行うすべはないのではないのではないでしょうか?

 

             サクッとわかる ビジネス教養  地政学