元国会議員秘書が解説します。正直言って、議員秘書の仕事って面白いの? 変なことさせられるの??

 国会議員秘書の、仕事の面白さは、その人の仕事の満足度の軸が、どこに置かれているのかにより、全く異なります。立法の補佐をやりたくて、政策担当秘書になった人は、自民党では、火曜日から金曜日の朝8時から開かれる、部会と言われる勉強会に出席して、政策議論を見聞きし、勉強するのが楽しいと思う人は多いと思います。

 また、将来、何等かの議員になる為に、選挙区担当の秘書として、選挙のやり方、後援会の作り方・後援会の運営の仕方を学ぶことが、将来の為になると考えて、面白いと思う人もいます。また、ドライバーとして、車に関わる仕事が出来る・常に議員の傍にいられるので、仕事に対する満足度が高いと言う人もいます。

 正直、秘書として、採用される時点で、どのような仕事を割り当てられるのかは、面接をする時点で、決まっていることが多いので、思っていた仕事のイメージと大きく乖離することは、少ないのではないかと思います。新人議員の場合は、分かりませんが、現役の議員が募集している場合は、会社と同じく欠員の募集となるため、穴が開いている仕事を担当することになります。

 私の場合、東京の企業担当(パーティー券販売要員など)として、採用されましたが、最初の3か月ほどは、選挙区の担当を行いました。実際に、一日、50件程度の支援者のところに顔をだして、挨拶回りを行っていた記憶があります。(1か月で、1,000件は、回りました)特に、年末に採用されたということもあって、いろいろな催し物にも参加していました。車を持っていなかった私は、事務所にあった、街宣車で訪問を行っていました(笑)

 これは、これで貴重な経験でしたが、私にとっては、かなり辛い仕事でした。使っている車が街宣車なので、不用意な所に、駐車することが出来ず、トイレを探すにも、かなり苦労した経験があります。

 一応、そのあと、永田町勤務がメインになったのですが、選挙区に家があったことから、月曜日は朝6時半から、8時半まで、駅前で、街頭演説と同時に広報誌の配布、火曜から、金曜は、朝8時から、自民党本部での勉強会への参加から、パーティー券の販売、昼食会(これも、政治資金集めになります。昼食は、1万円のカレーライス)の企画・運営・講師の依頼、官僚からの政策ヒアリングへの同席、など、ドライバー以外の仕事は、ほとんどやっていました。陳情の処理なども、当然の様に、行いました。

 変わったところでは、選挙区の首長選挙の選挙事務所への派遣要員もやりました。

 夜は、また、いろいろなイベントがあり、それへの出席など、基本労働時間は、12時間くらいで、それに、往復の通勤時間が3時間プラスされて、体力的には、かなりハードだったと思います。実際、日曜日だけが、休みだった私は、毎週の様に、マッサージ店を利用していました。

 その中で、もっともつらい仕事が、パーティー券の販売になるでしょうか。これは、パーティーの開催日を決定してから、3か月程度かけて、販売を行うのですが、私が、仕えていた議員が、まだ、当選1回ということもあり、なかなか知名度もなく、売れない物・普通に考えてニーズの無いものを、無理やり販売するということで、精神的には、苦しく感じたものでした。

 私が、初めて販売したときは、購入してくれる企業・団体というものが、よくわからず、議員がどこかで、名刺交換をしてきた名刺に、片っ端から電話をかけて、アポイントを取得し、チマチマ販売していました。

 売っていくと判明してくるのですが、当選回数の数だけ、購入してくれる企業というものが大半で、当選1回生は、大体1枚とうのが相場になっていました。私は、当選3回まで、仕えていましたが、流石に、当選3回ともなると、当選1回の時とは違う、ボリュームで売れていくので、後々は、かなり、精神的な負担は、軽くなっていた記憶があります。

 また、自民党と、野党の秘書でも、仕事内容に違いはあるみたいで、私は、選挙区の敵対する候補の秘書(当時の民主党)と個人的に仲が良かったので、(一緒に飲みにも行ったことがあります)ホンネを聞いてきたところ、自民党の秘書をやりたいとのことで、与党と野党の議員秘書でも、仕事の面白さは違っているみたいですね。

 民主党の秘書曰く、「連合の相手はしたくない」とのことでした。