元国会議員秘書が解説する、新菅内閣総理大臣と初当選同期の96世代は「同期の桜」

 皆さんの中で、何故、衆議院の選挙で、小選挙区、プラス、比例代表制の制度が取られているのかご存じの方はいらっしゃいまうでしょうか?

 1996年に、初めて導入されたこの制度の前の選挙制度は、中選挙区制という、一つの選挙区から3~4人の議員を選ぶという選挙制度で、自民党は大抵2人~3人程度を、各派閥が候補者を擁立し、その他の政党は、1人程度を擁立するといった感じののものでした。

 リクルート事件、佐川急便事件など金絡みの事件が連続し、当時の政治は、金まみれの金権政治と言われ、金丸信元代議士の自宅からは、北朝鮮からのものではないか?とも疑われていた刻印の無いインゴットが警察に押収されるなど、事件がお起こっていました。

 この腐敗しきった自民党政治に終止符を打ったのが、日本新党代表だった、細川護熙元首相を中心とした野党連合内閣なのですが、兎に角、自民党を政権の座から引き下ろすことのみを目的とするもので、その内閣が、国民からの、政治不信を払しょくするものとして、目玉政策として作り出した新しい選挙制度が、この小選挙区プラス、比例代表制の選挙区でした。

 この選挙制度の主な狙いは、小選挙区制をメインの選挙区の区割りとすることで、当選する議員が1人となり、もし、時の政権に不信感が高まれば、二大政党制を前提とする小選挙区制度で、政権交代が起こりやすくするというものでした。

 羽田政権から、当時の社会党党首の村山富一を首相に、担ぎ上げた橋本龍太郎総裁の自民党は、この選挙区制度を初めて使い、1996年の解散総選挙では、橋本龍太郎人気も後押しをし、大勝利をするにいたりました。当時の橋本龍太郎ブームをご存じない方もいらっしゃると思いますので、その人気ぶりの一例をご紹介させて頂きますが、自民党本部には、なんと、橋本龍太郎とツーショット写真が撮れる激レアプリクラまで設置してあったほどです。

 この総選挙で初当選を果たしたのが、96世代と呼ばれる初当選組では、菅義偉内閣総理大臣を筆頭に、下村博文政調会長佐藤勉総務会長、山口泰明選対委員長、河野太郎行政改革担当大臣、田村憲久厚生労働労働大臣、平沢勝栄復興担当大臣などになります。

 自民党の党四役のうち、3人、主要閣僚だけでも、これだけの数が、入閣しています。他にも、桜田義孝前オリンピック担当大臣、渡辺博道前元復興大臣、棚橋泰文元IT担当大臣など、正に、多士済々です。まだ、彼らの96世代は、昔から、「まれにみる、人材に恵まれた同初当選組」と言われてきましたが、ようやく、ここに来て、同期から排出した初当選を果たした同期仲間である菅首相の元で、その実力をいかんなく発揮できる舞台が整ったと言えるでしょう。この96世代同期がこうも、揃いもそろって、政治舞台での主役級にまで同時に、上ってこられたのは、皮肉にも、自民党を政権の座から引きずり下ろすために作られた小選挙区制度のおかげなのです。

 小選挙区制は、本質的には、農村票を多く抱える自民党に有利な選挙制度だからなのです。国会議員の1票の、国民が有する1票の価値は、最高裁判決でも認められていますが、日本の有権者の多くは、地方・田舎に住んでおり、とういう人は、昔から、自民党支持者が多数を占めています。

 この96世代の特色ですが、同期=同級生=仲間ということで、たとえ、所属する派閥は違えども、一つのことを「ヤル」と決めたら、派閥の枠を超えて「鋼鉄の塊」の様に結束するのが特徴で、国の為なら命を懸けて一致団結する「同期の桜」と言うことができます。総裁選挙では、派閥は違っていても、菅さんに1票を入れていると断言しましょう。

 初当選同期の菅義偉さんが、内閣総理大臣になりましたよ。昨年、ご病気でご逝去された故望月義夫環境大臣様。同期から、首相を輩出出来たら、本望ですよね。