元国会議員秘書が解説する、自民党新規党員獲得の実態とは。。 秘書は、何をやってるの?秘密のベール

 つい先日のニュースで出ていましたが、自由民主党は、選挙に於いての公認要件として、新規の党員獲得人数を「1000人」のノルマを課すとのことです。

 正直、一般人の感覚では、「一体、どんな人が党員になるんだろう?」という感覚ではないかと思います。この新規の党員獲得なのですが、普通の人では、自分から進んで入党しようと思う人はいません。年間に数人、熱烈な支援者が自主的に、入党することがある程度です。

 自民党の党員のメリットというのは、3年に一回開かれる自民党総裁選挙で、総裁選挙に立候補している議員に一票を投じることが出来るというものがあります。前倒しの総裁選挙でもない限り、3年に1回しか唯一のメリットである、総裁選挙への参加をすることができません。

 また、デメリットも当然あるのですが、それは金銭的な負担を伴う、年間4,000円の党費になります。無料で入党できるのでしたら、関心を示す人も若干はいらっしゃるのかもしれません。という訳で、主に、選挙区担当の秘書が普段から、あくせく人間関係を築いてきた後援会員に働きかけを行う訳ですが、実際に、お金がかかるので、そう簡単にはいきません。

 


安倍総理が3回連続で当選 自民党総裁選(18/09/20)

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自民党総裁選挙

 そこで、実際は、とりあえず、新規党員の名義借りを行うことで、党費の4,000円は、議員事務所が負担したりします。いわゆる、ノルマ達成のための「自爆営業」と同じことが行われています。実は、この党費の4,000円ですが、半分の2,000円は、議員の政党支部の取り分となっています。お金がある議員は、200万円の自腹を切って、党員獲得のノルマを達成してしまおうと考えます。

 1000人分を全額負担する場合は、実質的に200万円を負担すれば、良いわけです。1000人という人数を集めるのは、いくら自民党といえども、選挙区にもよると思いますが、短期間に集めることは難しいのではないでしょうか。

 そこで、足りない部分を、選挙区内の従業員が多い支援してくれる企業経営者から、従業員名簿を借りて、一気に党員を集めるということも行われたりします。この企業単位の党員は、まとめて、職域支部という分類の党員になるのですが、私が現役の頃は存在していました。

 個人情報の取り扱いがウルサイ現在でも存在するのかは、その実態は不明ですが、中小企業などでは、議員が支部長を務める、いわゆる「選挙区支部」の党員として、登録されていると思います。

 この新規党員獲得の入党費で、自民党本部は、立候補者が比例区を入れて400人と仮定すると、ざっと「8億円超」の資金を議員から吸い上げることが可能になります。

 かつては、党員が300万とも100万人いたとされていましたが、その大半は、「職域支部党員」という、自民党支持企業の従業員の幽霊党員だった印象がありました。自分が知らぬ間に自民党員になっていた人も、昔はいたと思います。その幽霊党員の会社員の家族も幽霊党員になっていたのではないでしょうか。

 かく言う私は、総裁選挙の選挙事務津を担当したことがありましたが、とあるソフトウウェア会社の従業員名簿=党員に、立候補した所属派閥の支持を取り付けるための、電話作戦を行ったことがあります。

 正直いって、「こんなの意味あるのかな?」と思っていましたが、各議員事務所から1人は、総裁選挙要員として、動員が義務付けられていたので、仕事と割り切って、ほどほどに作業に従事していました。