元国会議員秘書が解説する、次回の総選挙における、注目選挙区 その5 広島3区 元法相河井克行の地盤 公明党が新規に候補者を擁立するその恐ろしい政略の裏側 大阪都構想の住民投票も影響していた事実!!

 

冷徹と誠実 令和の平民宰相 菅義偉論

冷徹と誠実 令和の平民宰相 菅義偉論

  • 作者:財部誠一
  • 発売日: 2020/12/09
  • メディア: 単行本
 

  さて、次回の衆議院総選挙の日程ですが、来年の通常国会の召集が1月8日と、一月の上旬に設定されたことで、ほぼ、国会召集&冒頭解散が濃厚となりました。何故、国会召集をして、冒頭での解散が確実とされるのかと言えば、選挙が行われない年の、通常国会の開催は、例年1月下旬頃なのですが、1月8日という日程は、例年と異なって早い日程であり、通常国会の開催日数は、国会法で、150日と定められています。6月上旬には、総選挙をやってしまおうという訳です。また、来年の6月には、東京都議会議員選挙が行われます。また、現在、武漢ウィルスが流行していますが、今年の流行のトレンドを観れば、6月頃には、いったんは、収束する時期にもあたります。

 この上記の要素を加味すれば、通常国会開催の冒頭解散が容易に想定されます。

 さて、広島3区の選挙事情について解説致します。自民党現職の河井氏は、逮捕されてしまったということで、事実上、自民党から立候補することは難しく、他の新人を擁立するしかありませんが、公明党が、前幹事長の斎藤鉄夫議員を広島3区から擁立しようとしています。

 これは、既に、菅首相と裏で話がついており、既定路線であると想定されます。実際に、自民党の二階幹事長も異論を唱えていません。広島という土地は、原爆が投下された影響なのか、野党の勢力が地味に強いエリアとなっており、実際に、広島市長には、元社会党代議士の秋葉氏が市長を務めていたことがあるくらいです。小選挙区公明党へ、譲ることで、今後の重要法案へのスムーズな、協力を裏で、取り付けたものと思われます。

 公明党小選挙区での当選は、決して、簡単なのものではありませんが、過去には、東京都北区で、自民党の矢代英太元郵政大臣の地盤から、前公明党代表太田明宏氏を当選させた実績があります。

 河井氏も、実際に、1回落選しているくらいです。前回の総選挙では、河井氏は、勝利したとはいえ、新人の無所属候補に、得票率35%を許すなど、河井氏の地元での悪評を加味しても、自民党が盤石とはいえない選挙区となっております。前回立候補した、野党系の新人の無所属候補、日本維新の会の候補者の票を合わせると、河井氏を上回る得票となっています。

 河井氏の選挙違反で、主要な職系の首長・県議会議員がお金を貰っていたりしており、次の候補を新しく発掘することが容易でない自民党内の政治的な事情と、党勢拡大を目論んだ公明党の思惑が一致し、前幹事長の斎藤鉄夫議員を小選挙区から立候補させようという話に至ったと思われます。

 また、公明党の集票力の恐ろしさを見せつけたのが、先に行われた大阪都構想住民投票における、創価学会の票の動きでした。出口調査では、公明党支持者の賛否は、半々となっており、ほとんどの人が、公明党の票の動きの本当の意味を理解していませんが、公明党がその気になれば、この住民投票の成否を左右させることができるということを見せつけた選挙だったとも言えます。

 山口代表が、大阪入りをし、大阪都構想に投票をしろと訴えたにも関わらず、公明党票が二分されたというのは、公明党支持票の鉄の結束からしたら、公明支持票の動きは、あまりにも、不自然で、きれいに、二分させたというのは、事前の、五分五分の世論調査を左右できるということを、票を意図的に、二分させることで、その影響力を見せつけたと言うことは、不自然とは言えないと考えます。

 また、この話の裏に存在する事情は、広島県内の自民党は、広島を地盤とする岸田文雄代議士の自民党幹部ポジションからの、追い落としにあります。広島県の国会議員は岸田氏が率いる、宏池会の息がかかった国会議員が多いのですが、この宏池会の勢力を削ぐという陰謀があります。

 来年の9月には、自由民主党の総裁選挙がありますが、岸田氏の力を削ぎ落して、総裁選挙に立候補させなくさせるとうい思惑があるものと推測されます。昨日、先ほどの総裁選挙に立候補した石破茂氏が、自分の派閥の代表を下りましたが、それと同じ様な状況を作り出し、96年の総選挙初当選組より、上の当選回数が議員を事実上、総裁選の候補から締め出してしまい、政治的に「一丁あがり」の状態にしてしまうことにあります。

 先の記事でも書きましたが、首相、政調会長(下村氏)、総務会長(佐藤氏)、選対委員長(山口氏)、国対委員長に森山氏(衆議院6回、参議院1回:事実上の子分)をはじめ、主要閣僚に、96年初当選組を配置する人事を行いましたが、次の総選挙が終われば、自民党の幹事長ポストも、96年初当選組から選ぶのでは 選ぶのではないかと、容易に想定されます。

 中選挙区を経験したことがある議員の世代から、小選挙区初当選組である96世代への権力闘争のゲームチェンジをも狙った公明党候補の擁立をも狙ったものと言えるのではないでしょうか。