元国会議員秘書が解説する、一度吹き始めた解散風は止まらない! 解散する迄突っ走る生地獄

 4年に一度は、開かれる衆議院の総選挙ですが、通常は、2年半程度で解散されると言われています。長くても、3年程度が現実的なところです。

 2年半ほど任期が過ぎると、ちらほら、マスコミを通じて、解散風が吹き始めるのですが、今年の10月にも、解散が行われるのが濃厚と言われて、一度、解散風が、永田町に吹き荒れていました。私の経験では、選挙事務所の設置や、選挙運動員の確保など、実質的な準備が行われているものと思われます。

 コロナの疫病の関係で、来年1月の通常国会での冒頭解散説も否定されそうな感じですが、もし、来年の6月以降にまで、縺れ込むようなら、野党の新人議員にとっては、資金的に、相当苦しい状況に追い込まれることになりますね。

 選挙を戦うには、会社の経営と同じで、人・物・軍資金をうまく使いこなして、勝利をしようと考えます。この3つの要素は、全てお金に直結するものになりますが、無限にあるものでなく、有限であるがゆえに、出来ることと、出来ないことがあります。それは、活動期間が長引けば、長引くほど、明確になってゆき、新たに雇い入れた秘書の人件費、選挙事務所の家賃、レンタカー代などは、そのうちやってくる選挙に備えて、温存しておく必要があります。

 結局は、打つ「弾」を減らしていくことになります。弾とは、広報ビラ、政策資料の印刷代、ポスティング費用などになりますが、この広報関連の費用は、認知度、知名度をアップさせるには、必須のアイテムなのですが、これは、銃弾不足で、戦争するようなもので、特に、新人においては、致命傷になります。

 一度、広げてしまった大風呂敷は、事(選挙)が終わるまで、閉じることは出来ないのです。

 私が経験したところでは、実際の選挙が始まる次期の半年前から解散風が吹き始め、選挙の半年前から、選挙事務所を設置し、臨戦態勢に突入した選挙がありましたが、半年間、一日も休みが、全くなく、毎日、朝6時半から8時半までの、駅前での演説をこなし、一日の終わりの仕事が24時に終わるという生活を送ったことがありました。まだ、20歳代ということもあり、何とか、精神的にも、体力的にも、かなり、追い詰められた記憶がありましたが、同僚の秘書の中には、ほぼ、半狂乱になるもの、数日間、音信不通になり、プチ逃亡した者が2名現れたことがありました。また、変わったところでは、同じ日の同じような時間に、2名の秘書が、別々の場所で、交通事故を起こしたこともありました。

 選挙前の、政治活動と称する「実施的な選挙活動」には、活動について、制限がないため、この様な、悲惨なことが起こります。帰って、公示後の「形式的な選挙活動」の方が、行うことが出来る事が決められている為、活動自体は、楽に感じた記憶があります。

 現場の秘書の感覚としては、選挙の結果は、、選挙前には既に、決しているという感覚があり、一般人の「選挙が始まった」という感覚とは、異なっています。