元国会議員秘書が解説する、国会議員が乗る車のあれこれ①

 最近、国会議員の衆参各委員長が乗る車に、年間20億円の経費が掛かっていて、それは、高額なのではないか?との報道がなされました。確かに、衆議院参議院の各種委員会の委員長になれば、専用車があてがわれます。

 車種では、国産メーカーの最高ランクの車があてがわれます。いいお身分だと思われますが、この車は、委員会の公務と認定されるときにしか、使うことは出来ません。国会議員の事務所である議員会館から、衆議院参議院へ登院する時などに限定されます。要するに、国会議事堂へ行く時にしか、利用できない車になります。

 20億円ともいわれる維持費は、ほとんどが、運転手の人件費・議会事務局の人の人件費・ガソリン代・車検費用などに充てられています。

 衆議員・参議院の各委員長に就任したと言っても(衆議院なら当選4回から就任できます)、いつでも、専用車を使えるわけではありません。国会議員は、それぞれ、自分で車を保有し運転させる秘書も雇用しています。委員長になったからと言って、専用車を使うことが出来ると言っても、極限られた行程のみで、立場上、専用車を使うことが求められるので、使っているに過ぎないのが実態です。秘書からしてみれば、日程を組む時に、「ここから、ここまでは、衆議院の公務、ここからは、政務(政治活動)なので、車をどこどこに、配置してなど、仕事が増えてしまいます。

 逆に、自分の車を終日使うので、手当を支給した方が安いくらいですね。自分が雇用している秘書兼運転手と、衆議院参議院の委員長車専用の運転手との間で、仕事の引継ぎが発生するので、事務作業が複雑になってしまいます。

 ここから、ここまでは、委員長の専用車に乗ってもらって、ここからは、公務ではなくて、政務なので、個人の車を使ってくださいなど、結構、面倒な仕事が増えてしまいます。そうすると、荷物の載せ替えなどが発生するので、余計な仕事が増えてしまいます。

 これは、衆議院参議院の委員長の専用車だけの問題ではなく、各大臣・副大臣政務官にも共通して当てはまります。

 日本の国務大臣でさえも、国務に関しない仕事での移動は、プライベートの車を使っているのは、ご存じでしょうか?

 多分、アメリカでは、考えられないことではないかと思います。米国の国務長官が、支援者の集会で演説に行くからといって、個人の車で移動することって、あるのでしょうか?日本の大臣の場合は、同僚の議員がパーティーを開いて、その主賓で招待されても、議員個人の車で出向かなければなりません。

 よく言えば、公私がきっちりと分けられているとも言えますが、日本は、要人警護

に対して、ルーズとも言えます。

 20億円をかけてまで、専用車を用意する必要性は、無いと思いますが、国会議員が自分の車を持っているのですから、それを、効果的に利用させて貰う制度の方が、良いのではないでしょうか。