貧困社会が日本を滅ぼす② 働く幸せは一体どこに。。。

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 日本企業の管理職は、グローバルな視点から見てみるとまだまだ給与水準は低い。グローバルな世界で戦う企業は、同業他社からのヘッドハンティングによる人材流出に備えて、管理職の給与水準を序所に上げだしている。

 高所得者の目安といわれる年収1,000万円ではなく、2,000万円、3,000万円の管理職は増えだしている。外資は特にそうだ。マネージャー以上が、海外本社が直轄する人員として管理され、ミーティングは当然ビジネスクラスの英語で行われ、自らのチームをまとめることが出来、一プレイヤーとしても数字もたたき出すことを当然のように要求される。
 そのようなスペックを持ち合わせるプレイヤーはいるはずが無いと誰もが思うが、その過酷とも思えるスキルを持ち合わせているプレイヤーしか採用をしないのだ。

 そのスキルを満たすプレイヤー見つけるためには、ヘッドハンターに多額のお金・時間を使ってでも探すのだ。彼らは、優秀な人材を確保するためなら、十分な時間もお金を投資するのだ。

 厚生労働省が2017年9月末に「若年者雇用実態調査」を発表した。
15歳から34歳までの若者を対象に実施した同調査で、若者の厳しい労働環境を浮き彫りになった。
 正規雇用者の内、週50時間以上の長時間労働をしている人は、全体の22.5%と、およそ4人に1人が長時間労働に従事しており、月80時間の「過労死ライン」を超えている人も全体の7.2%に達した。

 実際に、現在の会社から定年前に転職したいと思っている人に、転職しようと思う理由について、「賃金の条件がよい会社にかわりたい」が 44.6%でトップになってはいるものの、 「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」40.6%と2番目に高い数値になっている。
 また、初めて勤務した会社をやめた理由についてみると、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が 22.2%でトップになっており、長時間労働に悩まされている、若年労働者に姿が明らかになっている。

 一方で、非正規雇用で働く人たちの「主な収入源」は「親の収入」と回答した人が40.3%となっている。
 過労死の恐れがあるほどの残業をしないと仕事がこなしきれない層が25%近くいるのに対し、 自分の生活を支えていく収入を得ることの出来ない層が40%近くいるという、歪んだ労働構造も浮き彫りになっている。

 給与に関しては、雇用形態別に賃金総額階級を見ると、正社員では「20万円~25 万円未満」が 33.1%と最も高い。
 一方、正社員以外の労働者では「10 万円~15 万円未満」が28.8%と最も高くなっており、 正規社員と非正規社員では、最大で一カ月に15万円近い差が生じていることになるのだ。
 そのため正社員以外の若年労働者の今後の働き方の希望をみると、「正社員として働きたい」が 47.3%となっており、性別にみると、男では62.2%、女では40.0%となっている。

 長時間労働で悩む正社員と、低賃金に喘ぐ非正規社員、今の日本の労働環境は、この両極端な選択ししか残されていないのだ。
 ただし、正社員においても、36協定を結んでいたとしても、残業代が支払われない場合もあるなど、 賃金面について満足な状況でない場合もおおいにある。

 少子高齢化労働人口の減り続ける日本で、将来の労働・納税の中核となる若者の使い捨てだけは防がなくてはならないのは論ずるまでもない。2019年に生まれた子供の数は、84万人と団かいジュニア世代の三分の一となってしまった現在、20年後に労働市場に登場する彼ら、彼女らの世界は一体、どうなっているのだろうか。

 ただ、それを解決する方法は、20世紀の大規模な社会的実験の結果、否定された共産主義社会の思想に基づいたシステムしか思い浮かばないのは、筆者の教養が足りないからとしか結論づけることはできないのである。