貧困社会が日本を滅ぼす③ サラリーマンに求められる新たな力

 日本生産性本部が、2014年度の新入社員を対象にアンケートを行ったところ、女性の新入社員の72.8%が 「管理職になりたくない」と答えたことが発表された。(2014年12月22日)前回の記事でこの傾向があるとは述べましたが、数字として現れたのは大変興味があります。女性10人の内7人は管理職になりたくないという恐ろしい数字はいったい何を意味するのだろうか。


 端的に言えば、「仕事は単なるお金を稼ぐ為の手段」としか考えていないという傾向が女性には多いということだろう。しかも、責任があり、多くの残業などのハードワークを嫌っているのは明白だ。女性に比べて割合が少ないにしても、男性にも同じ傾向があると容易に想像できる。
 安倍政権が、管理職に占める女性の割合を増やそうとしているが、これでは、とても成果がでる環境ではない。


 会社側から見れば、正社員として採用する以上、社員への教育という投資も行うし、非正規社員には任せられない責任のある仕事を、行ってもらうことは、当然、前提だ。一生平社員の仕事を希望する人間など、正直雇いたくは無いはずだ。


 新卒を採用する時点で既に、雇用のミスマッチが起きているといって良いだろう。新卒採用を好む日本の企業は、少なくともこれから5年から10年の間は、このミスマッチに気づかずに、いや、気づいていたとしても新卒採用を続けるだろう。


 経営者からみれば、従業員への給料は単なる労働の対価としての意味合いではなく、将来への投資という意味合いを少なからず持つ。とすれば、無駄な投資を行い続けるということになり、このミスマッチの本質的な問題に気づいた経営者は、新卒採用は、益々、人員を厳選するようになるであろう。

 経営者としては、はっきり言って、多少支払う給与が上がるとしても、同業他社から中途採用を行った方が、費用対効果が良いと考えるようになる。
 

 「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)で、竹中平蔵が、正社員になるには、「名札に値札(給与)がつく程度のスキルを持ち合わせていないといけない」とのニュアンスの発言を行っていたが、まさにそのとおりだろう。単なる、デスクワークを行う事務員・単純な業務の作業員・数合わせのための営業マンには、価格がつかない。

 単なる事務員でも「英検1級」程度のクラスの英語ではなく、専門用語にも長けたビジネスレベルの英語ができ、作業員でも複数の専門的な作業をマルチタスクにでき、営業マンでも、何らかの能力で数字を上げ続けることが出来る能力がなければ、正社員として働き続けることは難しくなるだろう。

 平社員でも最低このくらいのレベルが求められてくるのは、そう遠い話ではないと考える。管理職になるには、さらに上のスキルが必要であるが、若い人間が、管理職になりたがらないという傾向は、すぐに変わるとは思われない。副業に力を入れた方が、将来的な展望が開けると妄想しているからである。