銀行が注力しようとしているコンサルティングって何だ?

 先週の東洋経済で、地方銀行を含む収益力の特集が行われていた。それを読むと、不正融資を繰り返していたスルガ銀行を除くほぼすべての銀行の収益力は、ROEで見てみるとひどいものだ。1億円の資産を使って、数十万円ほどの収益しか稼げていないのである。

 銀行本来の機能である、国民から預金を集めて、企業に融資し、金利で利ザヤを稼ぐというビジネスモデルがほぼ崩壊していると言ってもいい。

 皮肉なことに、不正融資ではあったが、不動産融資への一点集中突破を行ったスルガ銀行は高収益の成績をただき出している。地方銀行の中では、スバ抜けて高収益体質を誇っているのだ。ある意味、融資の方法の是非はあるとしても、生き残りのための「取捨と選択」を行った事例でないだろうか。

 一方、他行はどうかといえば、自行が儲かる投資信託の販売、各種保険の販売手数料で稼ごうとして、四苦八苦している。融資をしたくても、なかなか融資ができる企業が見当たらないという背景がある。見当たらないというより、貸せる企業を見抜ける力がないというのが実態だろう。

 それはそうだ。土地や、経営者の連帯保証、信用保証協会の保証を担保として貸出をしていたからだ。融資を申し込んできた企業の将来性、先進的なビジネスモデルの先見性を見抜く力は、残念ながら地方銀行、信用金庫、信用組合には全くと言ってない。なぜなら、リスクをとって、マネーレンダリングを行ってきた前例がないからである。

 今になって、銀行窓口の営業時間を減らしたり、支店の統廃合、RPA、AIの導入を行い、ダウンサイジングを行って、リテール部門のコンサルティングに注力を行うと言っているが、そんな力が、銀行に果たしてあるのだろうか?

 はっきり言って、筆者はそんなことは、無理だろうと考えている。断言してもいい。せいぜい、相続税対策にアパートを立てたらどうかとか、高リスクで、銀行の手数料が多く入る商品への投資を進める程度だろうと考えている。(というか、実際にやっている)

 事業会社での実務経験・戦略立案の経験がない銀行員には、成長可能性のある企業の将来性、ビジネスモデルの優劣はほとんど判断できなから、個人へのコンサルティングといわれ分野に注力するといっているのであるが、現在問題となっているかんぽ生命がたどった問題を引き起こすだけではないのではないだろうか?

 銀行業は、許認可事業であるため、国民から見れば、ある一定の信頼感はあるが、かんぽ生命も、元国の事業の一部であったため、そほバックボーンの信頼力から不正販売が可能であった訳だが、銀行も同じ構造ではないだろうか?

 この低金利のなか、高齢者の資金の行き先が注視されるが、近い将来、コンサルティングという名の元、各金融機関の食い物にされる問題が起こりえる可能性が非常に高いと言えるのである。