消費税10%の悪影響が早くも出始めた訳ですが・・・

 既にご存じの通り、2019年10月から消費税が、食料品を除く、すべての消費に対して10%の消費税が課されるといことになってしまった訳ですが、さまざまな経済指標で大きな悪影響が出始めています。

 増税されてから、個人消費は、5~8%減少、2019年10月の景気動向指数は、94.8%(内閣府調査)となり、東日本大震災以来の大幅減少、小売業の売り上げは、7.1%減少、さらに驚くべき数字が、日本工作機械工業会発表の2019年の受注金額に至っては、37.8%減少という恐るべき数字となっています。

 国内のGDPは、個人消費+国の支出+企業の設備投資+(輸出ー輸入)の合計で示される訳ですが、個人消費はがた落ち、国の支出は、大きな公共事業は行わない、企業の設備投資は、約4割減少、輸入・輸出に関しては、TPPで減少するという予測で、2020年度の日本のGDPが上昇する要因は全くありません。

 オリンピック・パラリンピックに向けて、インバウンド需要が一時的に見込めるとしても、その恩恵を受けるのは、一部の産業だけで、国全体の経済の底上げを行うほどのけん引力があるとは思えません。

 ここで、国の税収を見てみると1992年には62兆5千億円あったのですが、2020年度では、63兆5千億円となっています。この間、消費税は、5%から10%まで引き上げられた訳ですが、税収全体を見てみるとほとんど上がっていないのがお分かりいただけると思います。これは、法人税を引き下げた結果、全体としての税収があがっていないということを意味しています。つまり、消費増税分は、法人の内部留保という形で、一般国民から、大企業への所得移転が行われたということを意味しています。

 現在、銀行のコア業務純益が大きく減少し、そのビジネスモデルが転換を迎えていると言われていますが、大企業が、多額の内部留保を持っている状況で、銀行という間接金融からお金を借りる必要があるでしょうか。当然ありません。資本金10億円以上の大企業は、これからの先行きの見通しが良くわかない時代に、大きなリスクをとって設備投資を行わなくなってきているのです。

 簡単な話ですが、個人も大企業もお金を消費しない時代となっている現在、国がいくら小手先の減税など行っても、先行きの見えない経済状況では、自己保身・将来への不安から積極的な消費は行えないのです。ということは、GDPの上昇は、現実的に起こりにくく、超氷河期世代の貧富の格差、雇用の流動性の高まりによる貯蓄性向の高まり、により、社会の金融システムは、崩壊に向かう元年になりそうですね。

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