中国で、銀行の取付騒ぎが起こっている実態

 現在、個人的に中国経済の分析を行っています。というのは、中国の銀行の乱脈融資ぶりが明るみに出てきて、2019年後半から、2020年にかけて、大きな問題を引き起こす可能性が非常に大きいとみているからです。

 2019年10月には、農村商業銀行で約1兆円の取り付け騒ぎがおこりました。地方政府は、この取り付け騒ぎを収束させるために、現金を窓口に積んで、人民の安心感を取り戻そうとしたわけですが、それをSNSで拡散しようとした、人々が居るわけですが、公では、数人捕まっているようですね。公の数字ですので、実際は、もっと沢山の情報を流した人民が捕まっていると思われます。とにかく、人には、こうした問題は隠したいんですね。

 また、遼寧省営口沿海銀行でも起こっているようですが、これは、銀行の大株主の資産差し押さえが原因ともいわれているようです。この大株主が、破綻すれば、その傘下の銀行にも当然影響が出るわけで、金融不安は、増大していきますよね。

 また、そういう銀行は、財務内容を非公開にしていることが多く、当然、財務内容を公開できないということは、ヤバイところに資金を流している訳で、金融機関としての健全な運営をしているという可能性が低いわけです。 

 中国の銀行の貸し出しというのは、貸出対象企業のビジネスモデルの優位性を評価して、貸し出している訳ではなく、今後下落する可能性が非常に高い不動産などを担保に貸し出したり、共産党幹部との個人的な繋がりで貸し出していることが多く、ある意味恣意的な融資がなされています。

 2019年の終盤には、国営企業のデフォルトさえ起こっている状況なわけですが、銀行の信頼性というのは、非常に低下しています。中国人民の支払いは、デビットカード形式のクレジット払いが多いわけですが、決済の関係で、完全に銀行から現金を引き出してしまうことは、生活をするうえで、非常に不便を強いられてしまいます。

 そういったことから、預入する銀行については、取捨と選択が行われてくると思われます。中国人民の人口の多さから、大きな金額の資金移動が行われ、銀行の統廃合が起こるのは必須となるのではないでしょうか。

 不動産バブルが叫ばれている中国では、不動産に多額の資金を貸し出しいる銀行にとっては、早期の資金回収が、至上命題となるわけですが、それが、更なるバブル崩壊に拍車をかけるのは必須で、加速度的に、経済縮小が起こるのは間違いないと思われます。

 日本で起こった1990年代に起こったバブル崩壊と同じ構造となっているとも言えるのはないでしょうか。当然、株価も下がりますし、株価が下がるということは、不動産価格も連動して下がるのが常ですが、2020年は、中国経済は、試練の年となることは間違いないでしょう。