日本の三権分立の本質って何なんでしょうか?以外に知っている人は少ないと思います(法学部生でも)

 我が国は、民主主義国家であり、その統治システムは、立法・行政・司法を分ける三権分立を基盤としたシステムを採用しています。このシステムは、明治維新より、ドイツの鉄血宰相と言われたビスマルク

ja.wikipedia.から、岩倉使節団が学んできた成果とも言われています。

 このシステムについて、わが国において学び始めるのは、中学校3年の社会科からになりますが、簡単に触れるだけで、詳しく教えられることはありません。縄文時代などの古代歴史を詳細に教えることよりも、将来的な有権者を育てるために非常に、重要だとは個人的に思いますが、義務教育とされている中学校でも、将来の有権者に対する教育が非常に薄いと思っているのは、少なからず、私だけではないと思います。

 国民が君主・領主から、自由というものを勝ち取ったという歴史がない我が国では、一般国民の政治に対する関心・関与が少なく、衆愚政治が長らく行われてきた歴史があります。

 欧米では、フランス革命が一番有名ですが、一般市民が自由と権利を血を流して獲得してきた歴史があり、その精神は、近現代まで引き継がれてきています。

 我が国の一般市民の政治参加は、黒船の来航より始まり、尊王攘夷運動を得て、明治政府の樹立、そして、自由民権運動を経て、25歳以上の男子による、納税額の多寡による制限選挙を経て、第二次世界大戦後のGHQGeneral Headquarters)による、日本国憲法制定に至り、現在の完全普通選挙制度が導入されるにいたりました。最近では、18歳以上に拡大されましたのが有名ですね。

 この完全普通選挙制度が導入されるに際して、明治時代にも、君主制ではありましたが、欧米列強並みにそれなりに完成されていた三権分立の制度が進歩した訳ですが(しかし、思想・信条の自由は制限されていましたが)、更に、国民主権が推し進められた形で現代に至っています。

 ズバリ、現代日本三権分立とは、国民が選んだ国会議員により構成される立法府(民意が反映された)が優位性を持つ、間接民主主義の三権分立制度となっています。

 これは、意外にも法学部レベルでは教えられることは少なく、司法試験レベルの勉強を進めていくうえで学ぶことが多い内容です。

 行政府のトップには、民意を反映した国会議員から選ばれた者が内閣総理大臣として、その権力を掌握し、内閣総理大臣が作った内閣が、最高裁判所の判事の選任を行います。行政を実行に移す各大臣も当然、内閣総理大臣にのみ任命権があり、総理の意向に反する考えを持つ者・行動をとるものは総理の意向でいつでも、罷免することが出来、その罷免した大臣を総理大臣が兼任することが出来ます。そのため、閣議決定は、全会一致を原則とされているのです。

 海外に目を向けてみると、大統領制の国が非常に多いと感じたことはありませんか?

 これは、主に大陸系の国々ですが、大陸系の国家では、隣国と陸地続きで、常に戦争の危険に晒されていた為、大統領に非常に強力な権限を与え、その脅威に素早く対処する必要があった為、採用されていた統治システムと言われています。

 我が国では、GHQがそこまで斟酌していたのかは、今後の研究を待つところですが、三権がそれぞれ、牽制しあいながら、あえて、その非効率性をもって、不正義な権力の行使を防ぐシステムを採用しています。すなわち、戦争などの大騒乱が起きると、その非効率性がゆえに、迅速に事を対処することが難しいシステムとも言えます。

 この辺りの議論は、法学部大学院クラスの議論になるので、難しくは話しませんが、昨今の、検察官の定年を延長するなどの法案は、我々が投じた一票の延長線上のお話に過ぎないことと言えるのです。

 ちなみに、間接民主主義が良くないということではなく、都道府県、市区町村の首長レベルの選挙では、直接民主主義のシステムを採用しており、間接民主主義の弱点となっている部分を補完しています。

 災害など、天変地異が起きた際に、自衛隊に災害出動を依頼する権限は、都道府県知事に与えられているのが、その代表的な例といえますね。