世襲議員は、現代のニュー貴族なのか? 独裁者も生み出す民主制の闇

    

 ひと昔前、と言っても、今は無き民主党が政権を握っていた時代の頃の話ですが、世襲議員を規制しようという議論が巻き起こった時代がありました。

 現在の内閣においても、安倍首相(三世です。岸元首相、安倍元外務大臣の血筋をひいています)を筆頭に、麻生財務大臣、梶山経済産業大臣、小泉環境大臣など有名ですね。小泉大臣は、あまり知られていませんが、二世どころか、なんと、四世議員になります。(意外にも、野党でも、世襲議員は多くいます。なんと、共産党の議員だった、不破哲三氏も世襲議員です)

 議員になるには、昔から、地盤(選挙区)、看板(知名度)、カバン(資金)の3つが必要(重要)とされていますが、世襲議員は生まれながらにして、この3つを持ち合わせていることになります。

 小選挙区制が施行されてから、その当選のし易さは、強固なものとなり、現在に至っています。地方の自民党公認なら、高確率で当選します。(京都、愛知県、北海道、沖縄を除く)何と、現在、全国会議員に占める、世襲議員の割合は優に、30%を超えるに至っているのです。

 これは、一般国民出身者が国会議員になることを難しくし、議員の子弟は、議員になるべくして、議員となっていることを示しています。

 民主党政権下では、世襲に歯止めがかかるかと思いきや、その政権運営の稚拙さから、政権運営を国民から、「NO」を言い渡され実現するにいたりませんでした。

 一方自民党は、比例区に限って、73歳定年制を導入していますが、例外の人が現れたりし、実効性のある運用となっているか疑問が残ります。一方で、候補者の公募も行っており、世襲に歯止めをかけようとしているかに見えますが、当選することを最優先し、世襲議員が続々と生まれていることも確かです。

 選挙に、めっぽう強い世襲議員ですが、メリットとしては、選挙の心配をせずに、政策立案に打ち込むことが出来る、とおうものがあげられます。議員が「聖人君子」なら、メリットが大きそうですが、議員が入れ替わることによる、民主主義のメリットである、政策変換のダイナミズムを生み出すことが難しいという、デメリットも生むことになります。

 世襲議員の場合、幼少より、選挙区には在住せず、東京の学校に通い、選挙区の事情に疎い議員も多いかと思います。選挙区の事情は、当選してから、猛勉強をする訳ですが、その地域に住んでいる人々の心情まで理解するのは不可能です。その人々の心情を本当に理解するには、その地域で育ち、学び、日ごろから接していないと理解はできないものです。

 それを良く現わしているのが、今の、安倍首相・麻生財務大臣ではないでしょうか。

 常に、他人事のように発言し、立ち振る舞ってはいないでしょうか。安倍首相が、自宅で、優雅にコーヒーを飲んだり、愛犬と戯れている動画が流されましたが、非常事態宣言が出されている国難に面していながら、やるべき仕事が山積しているにも関わらず、何もしていないなど、国のリーダーが行うことでしょうか。また、麻生大臣においては、国庫のお金が、あたかも、自分のお金であるかの如く見せようとしているではありませんか。

 それには、明確な理由があります。何故なら、彼らは、世襲議員で、一般国民が味わったことのある、お金を稼ぐことの大変さ、生活の苦労をしたことが無い、「ニュー貴族」とも言える身分の方達だからなのです。

 この状況を許してしまっているのは、まぎれもなく国民が投じた一票です。また、民主制から、ヒトラーを生み出したのも、ドイツ国民が生み出した一票なのです。