元国会議員秘書から見た、孫子の兵法にみる、安倍内閣の場当たり政策

 さて、安倍内閣による、4月7日からの緊急事態宣言が発令されてから、約2週間が経過した訳ですが、各マスコミによる内閣支持率を見てみると、不支持が逆転してしまうとう結果が、ほぼ出そろいました。

 内閣が打ち出した政策は、所得が減少した世帯への30万円支給から、国民一律10万円を支給するという政策に決定するに至りましたが、コロナの影響がいつまで、続くのか分からない、先の見えない中では、決して、抜本的な解決案では無いことは明白です。まだ、毎月10万円支給するというのであれば、話は別ですが、個人事業主や、零細企業を経営する経営者にとってみれば、正直、事業継続を行うには、焼け石に水で景気を維持するとう面では、全くお話にならないレベルです。

 日本の、就業者の9割は、中小企業で働いており、この中小企業を困らせる政策を打ち出すということは、国民の大半を敵に回すことにつながります。国会議員の皆さんは、「国民の代表」として、政策具現化する「法律」を作ることを許された階級の方々であり、役人の代表者ではないはずです。何故、麻生財務大臣のように、役人の代弁者のような振る舞いをする国会議員が登場するのか?それは選挙区で、「知名度があるから」、「家柄がいいから」などの理由があると思うが、決定的な理由は、「地元に利益をもたらしてくれるから」という、理由が大きいだろう。

 明治以降の近代日本の政治は、当時はまだ未熟ではあったが、大政奉還後に、薩長による「藩閥政治」から、「政党政治」へ移行し、日本の民主政治の原型が作られた。政党政治に移行したことによって、原始民主主義が生まれたわけであるが、その一方で「我田引鉄」とう言葉に表されるように、各政治家が、自分の選挙区に、鉄道を引くことに躍起になっていた。それは、大きな利権となり、様々な利権関係者の土地に鉄道を引くために、軌道がぐにゃぐにゃな鉄道を引くことになってしまった。それは、新幹線の駅を作る時にも、大野伴睦が自分の選挙区である、岐阜羽島の駅を無理やり作った時まで、続いている。

 安倍内閣のコロナに関する政策は、太平洋戦争で、旧日本軍が行った「戦力の逐次投入」に似てはいないだろうか?旧日本軍は、ガダルカナルの戦いに、大戦力のアメリカに対して、少しずつ戦力の投入し続けて、大損害を喫した作戦である。

 日本には、古来から、孫子兵法書が好まれて、有力戦国武将の愛読書として広まっていたが、今読んでみても、現在の政治・ビジネスにも通用する名著である。武田信玄の「風林火山」も孫子兵法書に出てくる言葉の一つである。また、有名な「彼を知り己を知れば、百選危からず」とう言葉も、孫子の言葉である。ビルゲイツも愛読書としていることは、有名である。

 一時期、クラウセビッッツが、ナポレオンの戦術をまとめた「戦争論」がもてはやされ、日清戦争以降、日本でも、孫子兵法書以上に、重用されたが、これは、あくまで、戦術論の話で、大戦略を説いたものではない。孫子兵法書の神髄は、いかに負けないか、負けないためには、人間関係・人間とはどういう物なのか十分に考察をしなさい、とうことを説いているものである。兵法書「勢」では、チーム戦で一気に戦えとも言っている。作戦」では、お金の使い方も説いている。

 今からでも遅くはないと思うので、日本古来から伝わる、孫子の兵法からヒントを得る政策を行うことが求められるのではないだろうか。