経済対策で言われる、いわゆる「真水(まみず」の意味をご存じですか?

 ワイドショーや、報道番組で経済評論家が良く使う「真水(まみず)」の経済対策の意味ってご存じでしょうか?使われる頻度としては、かなり多いのですが、本当の意味をご存じの方は、非常に少ないのではないでしょうか。

 「真水」とは、GDPを押し上げる効果のある経済対策のことを意味します。金融緩和で、〇〇兆円の貸付枠を設定したなどはよく報道されますが、これは、「真水」ではありません。

 何故なら、単なるお金の移動に過ぎず、GDPを押し上げる金融経済対策ではないからです。また、土地を購入する為の公共事業の費用も「真水」に当てはまりません。何らかの付加価値を創造していないからです。不動産の売買といえば、バブル期に不動産転がしが、頻繁に行われていましたが、この取引も、直接的には、ほとんどGDPに貢献しない経済活動と言われています。資産効果により、実体経済の実力以上にお金が動いて、大蔵省の総量規制による急ブレーキで、はじけたのがバブル崩壊になります。

 実際に工事を行う費用・それに伴う人件費、物品を購入する費用、設備投資、研究開発費用などがいわゆる「真水」に該当します。

 現在、コロナ大不況に我が国は陥っていますが、政府の景気対策の総額は、100兆円を超えていますが、「真水」に該当する金額は、30兆円に過ぎないと言われています。ほとんどが、金融経済対策に充てられており、GDPを押し上げる力は相当少ないと言わざるを得ないでしょう。

 昨年10月に消費税が10%に引き上げられ、10‐12月のGDPは▲7.1%、今年の1‐3月が速報値で、▲2%(4‐6月のゴールドマンサックス証券の予測では、▲25%と、直近9か月で、GDPが35%から40%近く下がってしまうという、緊急事態の状況にあります。

 我が国のGDPの総額が500兆円なので、約200兆円近く需要が吹っ飛んでしまった計算になります。そこで取るべき、「真水」の経済対策は、需給ギャプが生じている100兆円規模で行わなければ、計算上、景気が浮揚することはないと言えます

 このようなことは、第二次世界大戦後の世界では、初めてと言えるもので、1929年の世界大恐慌をも超えるとも言われています。この時、日本も、昭和大恐慌に陥り、大卒でも就職先が無く、「株式会社」に入ることが出来れば良い方だとも言われていました。

 この時は、首相の犬養毅と大蔵大臣・後の総理の高橋是清

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が、金融緩和と大幅な財政出動を行う政策をとり、収拾にあたりました。

 今、日銀は、国債の買い入れ額の上限を撤廃し、新規国債の引き受けを無制限状態にし、株式、債券市場においても、積極的に市場に介入をしている状況です。これで、出来るだけの金融対策は出来たと言えます。

 しかし、最後に必要なのは、プライマリーバランス目標を撤廃し、積極財政路線に大きく舵を切り、最低でも、150兆円規模の「真水」の経済対策が必要なのではないでしょうか。

 今回の景気後退は、2018年からその兆候は見せていましたが、導火線に火をつけたのは、昨年の消費税を10%に引き上げた事に由来するため、消費税の引き下げも併せて検討する段階にあると考えます。

 サラリーマンの実質給料が、バブル後の失われた30年で減少しているところに、実質的な消費金額が減ってしまう消費税の増税では、景気が良くなるはずがありません。