元国会議員秘書が解説する、微妙に重要な「アナウンス係」の仕事。国会議員会館で国会議員が外出する時は、アナウンス係がマイクで車を呼んでくれる

 国会議員の永田町の最前線の事務所である、衆議院第一、第二議員会館参議院会館では、国会議員が議員会館を出るときは、車を呼んでくれます。「〇〇先生、〇〇先生のお車、お願いします」と、地下の駐車場と、1Fに良く聞こえるようにアナウンスをしてくれます。このアナウンスを聞いた、車の運転をする秘書(単なる運転手)は車を、議員会館の車寄せに、車を移動させます。

 今回は、運転を担当する秘書の解説ではないのですが、アナウンスをしてくれる人の解説をしたいと思います。国会議員といえば、時期によりますが、衆参合わせると、約750人近くいます。一つの議員会館に約250人の国会議員がいる計算なのですが、アナウンス係の人は、担当する議員会館に事務所がある国会議員の顔と名前を覚えれば良いわけではありません。衆議院の場合は、第一議員会館の議員が、第二議員会館に頻繁に、出入りすることもあります。

 第一議員会館の議員が、第二議員会館を出るときは、アナウンス係が呼び出しを行う訳で、所属の議員会館の国会議員の顔と名前だけを憶えていれば良いわけではありません。要するに、衆参すべての国会議員の顔と名前を憶えていなければ、仕事ができない状況になってしまっています。

 総選挙でもあれば、結構な数の衆議院議員が入れ替わりますので、顔と名前を一致させるだけでも大変なことだと思います。

 実は、これだけではなくて、前・元国会議員という人たちも、結構な人数になりますが、この人達も、結構な人数が議員会館に出入りをしています。この人たちについても、議員会館を出るときは、車を呼んでくれます。

 私は、引退した故中曽根康弘元首相が、議員会館から出られる光景を何度も、見かけましたが、その際は、秘書の方が念を入れる為なのでしょうが、アナウンス係に先回りして、「中曽根です」と耳打ちしていたのを良く覚えています。

 ほとんど世間には、知られていませんが、国会議員経験者には、「元議員バッヂ」という、黄色のバッヂが付与されるのですが、このバッヂを使えば、永田町周辺の施設には、自由に出入りが出来ます。一般人の様に、いちいち、住所や勤務先、連絡先など入館の為の申込書を、わざわざ書かなくても、議員会館に入館することができます。

 自民党の本部である、自由民主会館も同じで、議員が建物から出るときは、1F正面にある、アナウンス係の女性が車を呼んでくれます。大自民党の顔らしく、グラビア雑誌に出てもおかしくない、かなりの美人が配置されていますが、どういう所属なのかは不明です。とりあえず、自民党本部の正面は、別の意味でも、鉄壁の防御ですね。

 この自民党のアナウンスの凄いところが、自民党以外の議員がまれに、自民党本部に来ることがあるのですが、この自民党以外の議員が自民党本部を出るときも、「〇〇先生。〇〇先生のお車お願いします」とアナウンスしてくれます。もしかしたら、事前に知らされているのかも知れませんね。ちなみに、自民党本部の駐車場は、地上と地下にあります。

 これもほとんど知っている人はいませんが、自民党本部の土地は、国有地なんですよ。社民党本部も国有地です。いったい、いくらで借りているんでしょうね。自民党本部の見学は、守衛にその旨を伝えれば、通してくれますので、見学は、比較的自由にできます。自民党ショップが1Fにありますので、記念品を購入することができます。

 昔は、橋本龍太郎元首相のプリクラがあったそうです。